液滴衝突における変形を予測する画像生成A Iモデル

液滴衝突における変形を予測する画像生成A Iモデル

 国立大学法人中国竞彩网大学院工学研究院先端機械システム部門の田川義之教授と同大学院工学府機械システム工学専攻博士後期課程在籍のYee Jingzu氏、同博士前期課程在籍の五十嵐大地氏、工学部機械システム工学科在籍の宮武駿氏は、液滴衝突における変形を予測する画像生成A Iモデルを新たに開発しました。この成果は土壌侵食、植物病原菌の飛散、印刷?塗装品質の劣化など、飛散による悪影響を最小限に抑えるための新手法として期待されます。

本研究成果は、Machine Learning: Science and Technology (IF=6.013) の掲載に先立ち、accepted manuscriptとして3月23日に公開されました。
論文タイトル:Prediction of the morphological evolution of a splashing drop using an encoder-decoder
URL:https://iopscience.iop.org/article/10.1088/2632-2153/acc727

現状
 液滴が固体面に衝突する現象には、様々な応用先があります。特に液滴が飛散(Splashing)すると、土壌侵食、植物病原菌の飛散、印刷や塗料の品質劣化などに繋がります。そのため、飛散する液滴の形状変化を予測し、これらの悪影響を最小限に抑えることが必要です。しかし、多様な物性値に影響を受けるため、その予測は困難です。この問題に取り組むため、AIを用いた液滴衝突の研究が活発に行われ、優れた性能を示しています。これまでの研究で開発されたAIモデルは、物性値を入出力として使用しているため、液滴衝突における複雑な変形過程を予測することが困難となっています。

研究体制
 本研究は、中国竞彩网 田川義之教授(大学院工学研究院先端機械システム部門)、Yee Jingzu氏(大学院工学府機械システム工学専攻博士後期課程在籍)、五十嵐大地氏(大学院工学府機械システム工学専攻博士前期課程在籍)、宮武駿氏(工学部機械システム工学科在籍)により実施されました。本研究は、JSPS科研費20H00223、20H00222、20K20972、JSTさきがけJPMJPR21O5の支援を受けて行われました。

研究成果
 本研究では、画像を入出力とするエンコーダ?デコーダを学習させ、画像データを使用して液滴の変形を予測するAIモデルを構築しました(図1参照)。学習させたエンコーダ?デコーダは、衝突前の連続画像から衝突中の液滴の変形を示す連続画像を生成することに成功しました(図2参照)。また、生成された連続画像の各フレームにおいて、液滴と固体面の接地部の長さDspr(図2赤矢印)が実際の連続画像とよく一致していることを確認しました。さらに、飛散の有無を高い精度で予測することに成功しました。これらのことから、学習させたエンコーダ?デコーダにより、液滴衝突における複雑な変形を正確に予測できる連続画像を生成することに成功しました。

今後の展開
 本研究で開発した画像生成AIモデルは、実験や数値計算に代わる、より迅速で安価な方法として期待されます。そのため、この成果は、降雨による土壌浸食?植物病原菌の伝播、印刷や塗料の品質劣化などの飛散による悪影響の原因を解明し、それを最小限に抑える手法として期待されます。

図1衝突前の連続画像を入力とし、衝突中の液滴の変形を示す連続画像を出力として生成するエンコーダ?デコーダのアーキテクチャ。
図2学習させたエンコーダー?デコーダーで生成したと実際の衝突中の液滴の連続画像の例です。ヒートマップは、生成したと実際の連続画像の差分を示しています。Hは液滴の落下高さとします。

◆研究に関する問い合わせ◆
中国竞彩网大学院工学研究院
先端機械システム部門 教授
 田川 義之(たがわ よしゆき)
 TEL/FAX:042-388-7407

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